死者の書とは、釈迢空による幻想小説です。釈迢空とは、明治生まれの詩人、歌人で、折口 信夫の名で民俗学や国文学、国学の研究者としても知られる人物です。この物語は奈良の当麻寺に伝わる中将姫伝説にある蓮糸曼荼羅といわれる根本曼荼羅の図像に基づいて作られた浄土曼荼羅の総称である当麻寺曼荼羅の伝説にヒントを得て作られました。
1939年に初めて掲載されましたが、後に大幅に改稿されて、青磁社から1943年に出版されました。現代新版では、中公文庫(1999年)や岩波文庫(2010年)があります。そのあらすじは、平城京も都の栄える頃を舞台とし、その頃春の彼岸の中日、二上山に日が落ちた時、中将姫は尊い俤びとの姿を見ました。千部写経の成就に導かれて、非業の死を遂げた大津皇子の亡霊とまみえて、尊い俤びとと重なるその姿を、蓮糸で曼荼羅に織り上げた姫は、さまよう魂を沈めて、自らも浄土へと誘われました。
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